またこれら5個の超構造体だけでも、観察範囲の全物質の25%と体積の13%が含まれていることが示されました。
そしてこの中でも最も巨大な超構造体キープの全長は428メガパーセク、すなわち約14億光年にも及ぶことが明らかになりました。
また、キープは、主要な長い軸に沿って、いくつかの細い枝(サブフィラメント)が左右に伸びるという、複雑かつ美しいネットワーク状のパターンを示していました。
この独特な外観から、研究チームは最も大きな超構造体をインカ帝国で用いられた記録装置「キープ(Quipu)」と名付けました。
インカ文明では、結び目や色、糸の長さを利用して膨大な情報を記録しており、その見た目は、太い主たる糸に複数の細い結び目付きの糸が連なる様子に似ています。
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キープの発見がどんな役に立つのか?
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今回のキープの発見は、単に宇宙の「大きさ」を示すだけでなく、宇宙そのものの成り立ちや進化を理解するための大きな手がかりとなります。
現代の天文学では、銀河や銀河団が集まって構成する「コズミックウェブ」の存在は広く知られていますが、従来、宇宙全体の大規模な構造は、全体としてはおおむね均一に分布していると考えられていました。
しかし、キープのような巨大な超構造体が明らかになったことで、この均一な分布の中にも局所的に非常に密集した領域が存在することが示されました。
この発見は、宇宙の大規模構造がどのようにして生まれ、成長してきたのかについて、既存の「均一」な宇宙観に疑問を投げかけ、再評価を促す可能性を秘めています。
また、キープのような大きな構造は、その莫大な質量によって、周囲の銀河がどのように生まれたり成長したりするのか、また、宇宙背景放射(CMB)と呼ばれる初期宇宙の残像にまで影響を与えると考えられています。