いまだに体育会系の気質が根強いIT業界
SES企業といえば過酷な働き方というイメージをIT業界内では持たれがちだが、SES企業に限らず、「ITブーム」「ITバブル」といわれた1990年代後半から2000年代にかけては、IT業界は徹夜や異常な長時間労働、連続勤務などが当たり前の世界とされてきた。そうした時代を生き残ったITエンジニアたちの目には、「残業=悪」とみなして残業を厳しく取り締まり、若手社員への厳しい指導も厳禁とされる今の労働環境は緩すぎると映ることもあるようだ。
「社会的な流れもあり、業界全体としてはホワイト化が進んでいるといえます。たとえばエンジニアがお気に入りのキーボードやチェアを選べるようにする企業もあり、人手不足を受けて企業側にはエンジニアから選ばれる努力をしようという動きも強まっています。一方で下流のほうでは、何十人ものエンジニアがタコ部屋に入れられてパイプ椅子と低スペックのノートPCでプログラミングをして、徹夜も強いられるという環境もいまだにあります。本来、常識的な労働時間のなかで人を育成して、それを前提にマネジメントしていくというのがあるべき姿なのに、『終業後や休日など業務外でも勉強し続ける“ワークアズライフ”でなければ成長しない』というメンタリティーの人も少なくなく、いまだに体育会系の気質が根強い業界であることも確かです」(田中氏)
大手テック企業のエンジニアはいう。
「昔は1週間くらい家に帰れないというのはザラで、明け方に1~2時間だけ机に突っ伏して仮眠を取り、起きてそのまま仕事を始めるという感じだった。なので知り合いのエンジニアのなかにも過労死する人はいた。次々に新しい技術が生まれて、知識や教育もきちんと体系化されておらず、研修や勉強もなく一人でサーバ回りもウェブ周りも行き当たりばったりでこなしていくという感じだった。あの時代が良かったとはまったく思わないが、今も残っているエンジニアは技術力も問題解決能力も高いとみなされ、かなり高い給料をもらっている人も多い。フリーランスだとPMやプログラマーとして複数の仕事を掛け持ちして月収150万円くらい稼いでいる人も珍しくない」
(文=Business Journal編集部、田中健太/データアナリスト、鶴見教育工学研究所)
提供元・Business Journal
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