エンジンオイルの選び方において、最も重要なのは適合しているオイルを選ぶことです。性能の高さはもちろんですが、その「性能」においても一概には良い・悪いで区別されるものではなく、HTHS粘度(エンジンオイルの高温高せん断性能)が高いものや低いもの、パーティクルフィルター搭載の有無、などエンジンそれぞれで要求は異なります。そのエンジンの求める性能を満たすオイルがエンジン本来の性能を引き出すことができます。この記事では、エンジンオイルのパッケージや製品説明に必ず書かれている「規格」を中心に、性能・仕様の確認の仕方を解説します。クルマを長持ちさせるためにも、必ずクルマの仕様を確認し、適合したオイルを選びましょう。

エンジンオイルの規格①SAE粘度

一般的にオイルの粘度とは、内部摩擦またはせん断に際してオイルが抵抗する特性のことをいいます。簡単に言えば、粘度が低いとシャバシャバとしていて、エンジン内部の循環が早い傾向にあり、粘度が高いとドロドロとしていて、油膜が厚く保護性能に優れる傾向になります。

エンジンオイルの粘度等級はSAE(自動車技術会)の発行するSAE粘度等級に基づいて分類され、推奨される粘度は車種によって異なります。

 「SAE 5W-40」のエンジンオイルを例にとると、最初の数字5は低温での粘度を表しています。この数値が小さいほど、低温でのオイルの流れが良くなり、よりスムーズにエンジン内部にオイルが行き渡るようになります。

極寒環境などの冷間時には、オイルのめぐりが悪くなるため粘度の低いものが推奨されます。ただし、日本の気候においては特別意識する必要はなく一般的には5W、10Wで十分な冷間始動における性能があるとされています。2つ目の数字30は、運転温度(高温)での粘度を表しています。

省燃費、排気ガス削減の観点からエンジンオイルは低粘度傾向にあります。国産車の指定粘度もまた0W-16といった低いものが中心となっています。

しかし、輸入車やよりパワフルな車種は高い運転温度での性能を要求します。

例えばメルセデスのAMG車両のような高出力な車両ではSAE 0W-40あるいはSAE 5W-40が指定されています。その他の車両においてもエンジン始動時の粘度と運転時の粘度の数字の幅が大きい粘度特性の優れたエンジンオイルが推奨されています。

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エンジンオイルの規格②国際規格(ACEA、API)