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ringo sono/iStock
政府は、マイナ保険証の優れた点として「なりすまし防止」を強調しています。しかしながら、以前にも指摘しましたが、マイナ保険証では「なりすまし」は防止できません。従来の保険証では「なりすまし」を防止できないことは事実ですが、マイナ保険証でも「なりすまし」を防止できないことも事実なのです。この事実は簡単に立証できます。
マイナ保険証の制度を改善するためには、どのような不備があるかを一つ一つ丁寧に分析する姿勢が大切です。分析もせずに、ただの思い込みで思考停止していては、いつまで経っても制度は改善されません。マイナ保険証の制度を改善するためには、その不備を謙虚に認めることが第1歩です。今の政府には、その姿勢が欠落しています。
何故、「なりすまし」が防止できないのか、順を追って説明してみます。
マイナ保険証を用いて病院で受付する時の手順については、厚労省のWebサイトで丁寧に解説されていますので、そこより引用してみます。
なぜ、カードリーダーの種類により、カードの設置向きが異なるのか理解に苦しみます。厚労省が仕様書で、設置向きを規定しておくべきです。
ここで重要な点は、①顔認証と②暗証番号を選択できるという点です。不正利用しようとする人は、事前に暗証番号を教えてもらっていますので、②暗証番号を選択すれば簡単に本人確認が完了してしまいます。
つまり、いとも簡単に「なりすまし」が可能となってしまうのです。
ここで重要な点は、カードリーダーの操作で受付は終了している点です。つまり、患者がマイナカードを受付の事務員に渡すことはありません。そのため、事務員がマイナカードの写真で本人確認をすることはできません。つまり、この手順ではカード上の写真を用いた不正防止はできないのです。
マイナカードが受付の事務員に渡されないような手順にした理由は、カードに記載されているマイナンバーを事務員の目に触れさせないようにするためと推測されます。マイナンバー自体は、保険請求には必要ありません。また、マイナンバーは秘匿するべきデータと政府は説明してきました。そのため、上記のような手順となったのです。