「自由党」案の閣僚振り分けでは、自由党が首相ポストのほか、財務相と内相のポストを握る。一方、国民党は副首相のほか、外相、家庭相、経済相、社会相を振り当てるというものだった。それに対し、国民党のストッカー党首代行は「わが党は財務相と内相のポストを要求する」と主張し、自由党案に強く反発。同国のメディアは「自由党と国民党の連立交渉は暗礁に乗り上げるかもしれない」と報じるほど、両党間の対立は一時期、解決の見通しが立たなかった。
そこで6日、ファン・デア・ベレン大統領はストッカー代行党首とキックル党首を個別に呼び、これまでの連立交渉の成り行きについて報告を受けている。その直後、国民党側から「自由党との交渉は来週初めから再開する」という短いステートメントが出てきた。
現地のメディアによると、「国民党は財務相を断念し、自由党に譲るが内相ポストは譲れない」というのだ。キックル党首は「前政権が残した国家財政の赤字を解決するためにも財務相が必要だ。また、移民、難民問題を解決するためにも内相ポストが不可欠だ」と説明してきた。「国民党の内相、自由党の財務相」の妥協案に同意するかは目下不明だ。
自由党から財務相が出てくれば、各省の関係省も自由党の財務相抜きで政策論争は出来ない。資金の出所の財務省は閣僚の中でも最もパワフルな省であることは変わらない。
「国民党」は「内相ポストは移民、難民問題を統括するという立場上重要だ。そのうえ、外国情報機関との連絡の拠点でもあるから、そのポストを(極右党)自由党には渡せない」というのだ。「自由党」はロシアとの人脈があるといわれてきたこともあって、「自由党」が内相ポストを握れば、欧米の情報機関との関係が難しくなるという懸念があるからだ。
いずれにしても、オーストリアで極右政党自由党主導の新政権が発足する可能性が出てきたことで、国内外で「キックル政権の発足を阻止すべきだ」という声が高まってきている。