レーザー兵器が求められる理由
レーザー兵器の重要性が急速に高まっている背景には、ドローン戦の台頭がある。ウクライナ戦争をはじめとする近年の紛争では、ドローンの大量運用が戦闘の常識を覆しつつある。さらに、紅海やアデン湾では、イラン支援のフーシ派勢力が米海軍の艦船にドローンやミサイルを多数発射する事態が続いており、従来の迎撃ミサイルではコスト面や弾数の制約が問題となっている。
軍事専門誌「Military Times」は、「レーザー兵器の導入は、艦艇のミサイル備蓄を温存しつつ、防衛能力を維持するために不可欠だ」と報じている。ミサイルの生産には莫大な費用と時間がかかるが、レーザー兵器なら理論上、無制限に発射可能である。
もっとも、開発は決して容易ではない。米海軍は年間10億ドルをレーザー兵器の研究開発に投じているが、進展は遅い。最大の課題は、艦艇上での安定した電力供給と、霧や強風といった気象条件下での動作である。
しかし、海軍は2025年の予算でもHELIOSの追加試験を計画しており、今後は巡航ミサイル迎撃への適用も視野に入れている。成功すれば、HELIOSは米海軍の防衛戦略の中核を担う存在となるだろう。
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(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)