大海原の上空に、白い閃光が走る。これは自然現象ではない。
米海軍の駆逐艦が発射した高エネルギーレーザーだ。「HELIOS(High-Energy Laser with Integrated Optical Dazzler and Surveillance)」と呼ばれるこの新兵器は、軍事技術の未来を切り開く可能性を秘めている。
【こちらの記事も人気です】
光速で迎撃するレーザー兵器
2023年、米海軍は駆逐艦USSプレブル(USS Preble)上でこのレーザー兵器の実戦テストを実施した。国防総省の報告によると、HELIOSは無人航空機(ドローン)を標的とし、精密に迎撃することに成功したという。この兵器の最大の特徴は、従来のミサイル防衛よりもはるかに速く、安価に脅威を無力化できる点にある。
従来の迎撃ミサイルは1発あたり数十万~100万ドル以上のコストがかかる。一方、レーザー兵器は光エネルギーを用いるため、1発のコストはほぼゼロに近い。さらに、HELIOSは標的を熱で破壊するだけでなく、敵のセンサーを妨害(ダズリング)したり、戦場の監視や被害評価を行ったりする多目的システムとして機能する。
ロッキード・マーティン社の先進製品部門副社長リック・コルダロ氏は、「HELIOSは艦艇の防衛能力を向上させ、将来の脅威に対する有効な抑止力となる」と述べている。