社会から隔絶された母娘の暮らし
検視結果によると、ターネルは重度の精神疾患を抱えていたことが判明した。長期的な悲嘆障害(prolonged grief disorder)に加え、脳腫瘍も患っていたという。
彼女の供述によれば、トレイシーの死因は不明。ターネルは「私は娘を殺していない。彼女の死因は分からない。救急車を呼ばなかったのは、助からないと分かっていたからだ。トレイシーを手放すことができなかった。私は彼女をあまりにも愛していた」と述べている。
ターネルは娘の死亡時期について、「正確な日付は覚えていないが、2022年9月頃だったと思う」と語った。その日、母娘は午後に映画を観ていた。映画が終わった後、ターネルが話しかけてもトレイシーは反応しなかった。彼女の目は一点を見つめ、瞳孔が開いていたという。
遺体は激しく腐敗していたため、検視では正確な死因を特定できなかった。しかし、トレイシーは生前、重度の側弯症(背骨の湾曲)や変形した腕を抱えており、車椅子生活を送っていた。友人もおらず、恋人もいなかったとされる。
検視官のアーヴィンは「トレイシーは母親に完全に依存していた。彼女の人生は、母親なしでは成立しなかった」と指摘している。
この母娘は、政府機関に登録されておらず、インターネットも使用していなかった。トレイシーは携帯電話すら持たず、警察は彼女の写真を1枚も発見できなかった。最終的にDNA鑑定によって身元が確認された。
警察がターネルの自宅を調査したところ、虫やネズミがはびこり、床には排泄物が散乱しているという劣悪な環境だった。
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(画像=Image by Peter H from Pixabay,『TOCANA』より 引用)