では日産。個人的感想を申し上げると世の中に似たような車が数百種あり、それが市場でパイの奪い合いをしているわけでその中で差別化を図るのは極めて難しいのだろうと思います。特に内燃機関とHVとPHVとBEVが混在する中で消費者はまずその方式を選択をするでしょうから内燃機関重視の会社ですとその時点で第一次選考にも残れない確率が高まります。

過去20年ぐらいは値下げすれば数百種のクルマから選ばれる可能性はありました。値引きは日産の常套手段で北米では安売りの日産と噂されていました。ところが今の消費者は安いから買うのではなく、欲しいから買うのです。スズキ「ジムニーノマド」は4月に発表後、5万台もの受注を抱え、受注一時中止となりました。この現象はその典型だと思います。

つまり日産もパナソニックも共に個性を出し切れなかったというのが私のみる共通点だと思います。パナソニックの前身、松下はかつて「マネシタ」とも揶揄されました。他社が出したものをより改良、改造し、「うちはこれで勝負でっせ」でした。総需要が大きく、皆が同じようなものを求める時代はそれでよかったのです。

日産は東の日産、西のトヨタというプライドの中で常にトヨタを意識していました。セドリックとクラウンの戦いなどはその典型でした。その戦いに敗れ、日産は個性を出そうと試みたのです。うまくいった商品はいくつもあったと思います。レンジ エクステンダーのついた「ノート」もよかったのになぜか世界展開しなかったのです。日産は自らマーケティングを諦めてしまった、そんな風にすら見えるのです。

1990年代後半、日産が倒産するかもというギリギリの状態の時、ゴーン氏がやってきて矢継ぎ早にリストラを進めました。しかし、その後の紆余曲折で日産には外資に対するアレルギーが出来てしまいました。よって国内で比較的独立独歩だったホンダとの組み合わせは斬新だったのです。今回報道のように破談となれば日産を救うのは誰なのでしょうか?鴻海が触手を伸ばす可能性が指摘されていますが、日産は外資アレルギー故にホンダとの縁談を選んだはずです。私は日産の経営陣が鴻海と一緒になることをたやすく受け入れるとは思えないのです。