そして、共和党側が妥協できない「公約」が散りばめられた「選挙演説」であったからこそ、共和党のジョンソン下院議長が激しい嫌悪感を示したのは当然であった。
Tonight, President Biden suggested that the state of the union is strong, but we all know that's not true. We are a nation in decline across every measurable category: on the world stage, in terms of our sovereignty, and economically.
Gaslighting the American people is not going… pic.twitter.com/vSDumvaZui
— Speaker Mike Johnson (@SpeakerJohnson) March 8, 2024
「欧州第一主義」が最大の公約?今夜、バイデン大統領は国家の現状が強いと示唆しましたが、それが真実ではないことは誰もが知っています。我が国は、世界の舞台において、主権の観点において、そして経済の観点において、あらゆる測定可能な指標において衰退している国です。
故意に誤った情報不安でアメリカ国民を煽ることはうまくいきません。
だが、上記のように大統領選に向けての事実上の「公約」を散らばめた一般教書演説の冒頭部分がウクライナ戦争についての言及だったことは示唆的である。これは、バイデン政権がウクライナ支援を現状における最優先事項であると見ていると同時に、中国よりもロシアの脅威が最も喫緊の課題であると認識していることを示した。図らずもバイデン政権はアジアにおける中国の脅威ではなく、欧州のロシアへの対応を重視する欧州第一主義を追求していることが可視化された。(ちなみに中国についての最初の言及は演説開始後1時間8分であった)
また、一般教書演説は、バイデン氏に批判が集まっている問題について説明する機会であった。しかし、一般有権者がバイデン氏よりも共和党に期待を寄せる国境警備政策についての言及は演説開始から49分であった。そして、民主党左派が問題視しているイスラエル軍によって惹起されたガザの窮状についての初めての言及まで1時間かかっている。左派からするとパレスチナ人というイスラエルの「圧政」に苦しんでいる現状がありながらも、一方でロシアの「圧政」に直面しているウクライナをバイデン政権が重視しているのは、建前上では民主主義や人権、法の支配を守ることに重点を置くバイデン外交の偽善性を浮き彫りにするものであったであろう。
公約実現のカギを握る2024年大統領選バイデン氏が「公約」として挙げた政策は今年の選挙で共和党が上院多数を獲得する状況下ではまず実現しそうにない。また、議事妨害がある以上、例え現状の上院での議席を維持するだけでは約束した政策の実現は不可能である。現状でのバイデン政権の最優先事項であるウクライナ支援は民主党が下院を獲得し、上院においてネオコンや穏健派共和党議員からの支持を得ることが出来たならば、何とか継続できるかもしれない。しかし、果たしてバイデン政権の欧州第一主義こそが有権者から求められているものなのだろうか。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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