では日本政府の落としどころはどこにあるかですが、私は案外「ここは我慢の時」と思っている節があるような気がします。以前このブログでトランプ氏の賞味期限は実質2年と書いたことがあります。つまり1年目はガンガン攻め、2年目は中間選挙を意識し、アノマリー的には3年目は議会でねじれが生じてうまくいかず、4年目は退任後は再任がないことを見越されパワーが落ちる、というわけです。(万が一、トランプ氏が憲法改正してでも再選を目指すとしてもその時は82歳、いくら何でも現実性は低いわけです。)
とすれば日本政府としてはトランプ氏の火の粉が飛んでこない様に守りの姿勢に徹することも対策としては機能するのです。4年後の大統領が誰になっているかは全くわからないですが、トランプ氏はエキセントリックな人材と考えたほうが無難であろうと思います。とすれば現在進んでいる様々なトランプ政策がオセロゲームのように全部色が変わることも当然視野に入れなくてはいけないのです。
日本政府や日本企業が「トランプ氏がこう言った」として例えばアメリカに拠点を動かすとしてもそれは時間がかかり、ようやく稼働する頃にはトランプ氏はもういない、ということも当然起こりえるわけです。日本企業はそこは当然読み込んでいるはずで影響を受ける企業は冬の時代をどう耐え忍ぶか、そして万が一、4年後に状況が好転しないことを含めた対案も検討せざるを得ないとみています。
石破氏としては今後、日本の首相が誰になってもトランプ政権にアクセスしやすい第一歩を築くことに徹する程度でよいかと思います。個人的にはトランプ氏から無理難題を押し付けられ、持ちきれないほどのお土産をもらい、マイナス点になるぐらいならゼロ点でもよいと思っています。案外そのゼロ点を取るのすら難しいのがトランプ氏であるとも言えます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年2月5日の記事より転載させていただきました。