この実験から両氏は「キティ・ジェノヴィーズ事件では、都会人の心が冷たいから誰も助けなかったのではなく、自分以外にも多くの人が見ていたために助けなかったのだ」と結論しました。
では、なぜ周りに人がたくさんいるほど、人助けを躊躇(ちゅうちょ)してしまうのでしょうか?
なぜ傍観者が多いと行動できなくなるのか?
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ラタネとダーリーは、傍観者効果の原因として「責任感の希薄化」と「社会的影響」の2つの要因を挙げました。
責任感の希薄化とは、目撃者が多くなるほど、「自分が行動を起こさなくても誰かがやるだろう」と感じ、個人の責任感が薄れてしまう心理を指します。
社会的影響とは、周囲の人々の行動を観察し、それに基づいて自分の行動を決定することを指します。
なので他の人が行動を起こさない場合は、自分も何もしない傾向が強くなります。
周りの人が誰も動かないのであれば、「ああ、これは緊急事態ではないのだな」と勘違いしてしまい、行動を起こせなくなるのです。
他にも傍観者がたくさんいることで「自分が率先して助けに入るのが恥ずかしい」とか「実は命の危険はないのに、自分が誤解しているだけなのではないか」「助けに行って断られたら嫌だな」といった様々な考えが浮かんで、行動を起こすことを妨げてしまいます。
では、傍観者効果を回避するには何をすればいいのでしょうか?
傍観者効果を回避するには?
街中で急に困っている人に遭遇すると、やはりどうしても人助けに躊躇してしまうでしょう。
そこで傍観者効果を回避する上で最も大切なのは、傍観者効果のことを理解して、日頃から意識を高めておくことです。
傍観者効果の存在を知っておくこと自体、すでに大きな一歩を踏み出すことにつながっています。
傍観者効果のことをしっかり理解し、日頃から頭の中で「困っている人がいたら自分が率先して行動する」というイメージをリハーサルしておくのです。