現代の名工、加藤博義氏がテストドライブ!

 エクステリアはオリジナルの外観をそのまま生かしていますが、ストッピングパワーを確保するためR35 GT-Rのブレーキシステムを移植。ホイールはオリジナルと同様の5本スポークデザインを細部まで再現した18inアルミを新規で作成しました。
 インテリアは、メーターとセンターコンソール表示部をオリジナルと共通イメージの液晶パネルを製作。特注のレカロシートや、後席部に搭載したバッテリーにはSKYLINEのロゴをあしらっています。ちなみにバッテリー搭載のためR32 EVは2シーターです。

【クルマの魅力2025】未来永劫、名車R32 GT-Rの「楽しさ」を語り継ぐ! 開発プロジェクトリーダーが語るR32 EVの意味
(画像=『CAR and DRIVER』より)
【クルマの魅力2025】未来永劫、名車R32 GT-Rの「楽しさ」を語り継ぐ! 開発プロジェクトリーダーが語るR32 EVの意味
(画像=『CAR and DRIVER』より)

 R32 EVプロジェクトを通じ、クルマの楽しさを構成する要素を分解する作業を行った結果、電動車であっても、かなり楽しい電動車が作れることが分かりました。完成車は、現代の名工、加藤博義氏にもテストドライブしてもらいました。まだまだクルマもテクノロジーも進化します。その中でR32 GT-Rのようなフィーリング、味わいは残さないといけないと思っています。R32のアナログ(エンジン車)の魅力を。デジタル(EV)でも再現できれば、未来でもR32 GT-Rの魅力が体験できるのです。今回のプロジェクトは、いわば「クルマのデジタルリマスター版」のようなもの。このクルマは商品化を目指してはいませんが、若いエンジニアとともに“楽しいクルマとは何か”を今後も探求、磨いていきたいと考えています。

 平工氏の言葉を聞いて、クルマの魅力は、まだまだ未来に続くと実感した。R32 EVが提示した価値観は、クルマ好きに大きな共感を与える。だからクルマは面白い。

【クルマの魅力2025】未来永劫、名車R32 GT-Rの「楽しさ」を語り継ぐ! 開発プロジェクトリーダーが語るR32 EVの意味
(画像=『CAR and DRIVER』より)

日産R32 EV 車両概要

【クルマの魅力2025】未来永劫、名車R32 GT-Rの「楽しさ」を語り継ぐ! 開発プロジェクトリーダーが語るR32 EVの意味
(画像=『CAR and DRIVER』より)

ベース車両=R32型スカイラインGT-R(BNR32型)
全長×全幅×全高=4545×1755×1340mm
車両重量=1797kg
モーター最高出力=160kW×2
モーター最大トルク=340Nm×2
乗車定員=2名
駆動方式=ツインモーター4WD
駆動バッテリー=リチウムイオン電池(リーフNISMO RC02)
燃料=電気
タイヤサイズ=245/40R18

【クルマの魅力2025】未来永劫、名車R32 GT-Rの「楽しさ」を語り継ぐ! 開発プロジェクトリーダーが語るR32 EVの意味
(画像=『CAR and DRIVER』より)

【平工良三】プロフィール

ひらく りょうぞう/日産自動車パワートレインシステム エキスパートリーダー、工学博士。1990年に入社し駆動実験部に配属。その後、事業計画担当を経て2002年にはドライブトレイン開発部主担に就任。2012年以降はPT先行開発部部長として日産のパワートレイン開発を主導している