その間に観光客役のシモンズと作業員役の研究者がドアの後ろですばやく入れ替わるのです。

そして作業員役は何事もなかったかのように歩行者と会話を続けました。

その結果、驚くことに15人中8人は目の前の人物がまったくの別人にすり替わっていることに気づかずに道を教え続けたのです。

こちらが実際の実験映像です。

作業員役が会話を遮って「1分前にドアが通ったとき、何か変わったことに気づきませんでしたか?」と尋ねると、「ああ、あの作業員はずいぶん態度が悪かったですね」と答えた歩行者もいたといいます。

これも「見えないゴリラ」と同様に、図書館までの道のりを教えることに注意が向けられるあまり、その他の変化を見逃してしまったのです。

このように私たちの視覚的な注意は意外とザルであり、かなり大胆な出来事にも気づかないことがあります。

…と言っている間にも、皆さんの周りで何か大きな変化が起きているかもしれませんよ。

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参考文献

Bet You Didn’t Notice ‘The Invisible Gorilla’
https://www.npr.org/2010/05/19/126977945/bet-you-didnt-notice-the-invisible-gorilla

元論文

Gorillas in our midst: sustained inattentional blindness for dynamic events
https://doi.org/10.1068/p281059

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部