そして、巻きを緩めなかったのが幸いしたのか、オマツリすることなく仕掛けに到達。ここからもスピード勝負。一気に手繰り寄せると、巨大な魚影が浮き上がった。
ファイト時間が短いので、水面でもかなりの抵抗を見せたが、なんとかタモに収まったのは11.2kgの立派な寒ブリだった。上がった瞬間、思わず叫んでしまうほどの魚だった。

最終釣果
その後は、たまにフグのアタリがある程度で、この1本のみで終了。船中でも4本と、かなり厳しい日だったようで、本当に運に恵まれた。
コツというものはあまり無いように感じたが、強いて言えば、餌はケチらずに釣り餌専用、もしくは鮮度の良い食用のものを選ぶのが良さそうだ。
あとは、防寒対策は過剰なくらいするのが安心。念のために買っておいた電熱ベストのおかげで、この日は終始快適に過ごすことができた。
帰宅後、捌いてみると腹側はもちろん、背中側までサシがしっかり入っていた。

まずは刺身で食べてみると、とろける旨さ。寒ブリは10kgを超えるとキロ単価が上がると聞いたが、これは納得である。

何にしても旨いが、個人的にはしゃぶしゃぶが一番。特に脂の強い腹身は、粗塩を少し振ると絶品。これは毎年遠征しよう、そう思わせる魚だった。

<灰野広武/TSURINEWSライター>