トリプルBとダブルBとの間の利回り格差は、投資適格という人工的に設定された境界によって作られているから、信用リスクの格差を正しく反映したものではない。故に、ダブルBの利回りは、理論的なスプレッドよりも、大きなスプレッドがついていて、ダブルB社債は、投資対象としての魅力が高くなっている。つまり、S字の崖の上に投資の有利な機会があるのである。
ダブルB社債の魅力は、静態的に、スプレッドが厚いということだけではない。発行体の信用力は変化し、その変化を反映して、格付は改訂されていくので、動態的に、ダブルBがトリプルBに格上げになれば、スプレッドは大幅に縮小するので、債券価格は急上昇する点も魅力なのである。逆に、トリプルBがダブルBに格下げになれば、債券価格は急落するから、これで、ダブルB社債がトリプルB社債よりも相対的に価値の高いことは明らかである。
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森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行