研究では、実験条件と対照条件の2つの条件を設定しています。
実験条件では、参加者はエアロバイクで30分間の有酸素運動を行いました。
手順は「5分間のウォームアップ」「20分間の運動」「5分間のクールダウン」です。
対照条件では、参加者は30分間エアロバイクに座り、自然の映像を視聴するだけでした。
各セッションは2回実施され、1回目のセッションでは実験後に認知機能を測定するテストを実施、2回目のセッションでは脳の皮質内機能の変化を測定しています。
研究の結果、事前の予想通り、ADHDの参加者は30分の運動後に皮質内抑制が強化される一方で、健康な参加者では皮質内抑制が低下していることが確認されました。
そしてADHDグループは運動後のテストで認知機能のスコアが高まることが示されたのです。
逆に健康な人は運動によって脳の興奮性(皮質内促進)が高まっており、運動後のテストでも認知機能の向上は見られませんでした。
今回の結果は、短い有酸素運動がADHDの人々の認知機能を特異的に高めてくれることを示すものです。
有酸素運動は呼吸によって酸素を取り入れながら筋肉を動かす運動であり、ウォーキングやランニング、サイクリング、水泳、ダンスなど色々な運動が含まれます。
ADHDの人は集中力が落ちてきたと思ったら、軽く運動してみるといいかもしれません。
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参考文献
30 minutes of aerobic exercise enhances cognition in individuals with ADHD, study finds
https://www.psypost.org/226017-2/
元論文
Acute aerobic exercise modulates cognition and cortical excitability in adults with attention-deficit hyperactivity disorder (ADHD) and healthy controls
https://doi.org/10.1016/j.psychres.2024.116108