このことは、まばたきが注意の区切りとして働いている可能性を示唆しています。

まばたきによって視覚から入ってくる情報を一旦遮断することで、脳をリセットしているわけです。

また、頻繁に使われる単語よりも、珍しい単語を読んだ後にまばたきが増えることも分かりました。

珍しい単語を見た時、脳の認知的な負荷(脳が情報を処理するためにどれだけ頑張っているか)が大きくなります。

その時にまばたきをしているということは、短いまばたきの間に、脳が直前の情報を処理し、整理していると考えられます。

画像
まばたきは、脳が情報を処理するタイミングを示している / Credit:Canva

これらの結果は、まばただきが読書中のランダムなタイミングで行われているのではなく、テキストの認知的な要求に合わせて、戦略的に調整されているという仮説を裏付けるものです。

つまり、まばたきは、脳が情報を効率的に処理するタイミングを示している可能性が高いのです。

今回の研究は、まばたきが単なる生理的動作ではなく、脳の認知的活動と深く関連していることを改めて示すものとなりました。

この知見は、読書や学習、さらには集中力が必要なタスクの改善に役立つ可能性があります。

将来的には、まばたきのパターンをモニタリングすることで、注意力や疲労をリアルタイムで評価する技術の開発にもつながるかもしれません。

例えば、自動運転車のドライバーや航空管制官の注意状態を監視するツールとして応用できるでしょう。

次回、本を読んだり画面を見つめたりしているとき、あなたのまばたきに少しだけ意識を向けてみてください。

その瞬間、あなたの脳は短い「リセット」を行い、情報を整理しているのです。

全ての画像を見る

元論文

Reading Between the Blinks: The Timing of Spontaneous Eye Blinks in Text Reading Suggests Cognitive Role
https://doi.org/10.31234/osf.io/pu9cv