さらに、アーサー・ホール(Arthur Hall)氏が1945年に行った先駆的な研究では、読書中に句読点や文末でまばたきが増えることが観察されており、これが注意の区切りや情報の処理と関連しているとされています。
彼はまた、読書中のまばたきが句読点や珍しい単語で増加することを示し、まばたきが情報処理に関与している可能性を提案しました。
しかし、このホール氏の研究は、データが限られていたことや主観的な判断が含まれていたことが指摘されており、彼の仮説を検証する必要がありました。
そこで今回、ベルギーのゲント大学(Ghent University)のルイザ・ボガーツ(Louisa Bogaerts)氏とそのチームは、ホール氏の仮説を元に、改めてまばたきと脳の情報処理の関係を調べることにしました。
読書中、脳は「まばたき」の間に情報を整理していた
今回の研究では、Ghent Eye Tracking Corpus(GECO:読書中の視線の動きや瞬きのタイミングを詳細に記録したデータベース)のデータを用いて、読書中のまばたきパターンを分析しました。
実験では、15人の被験者が、アガサ・クリスティ(Agatha Christie)の小説を黙読し、研究チームは、その際の視線とまばたきのデータを記録(視線追跡装置を使用)しています。

研究チームは、ボガーツ氏の仮説にならって、句読点(ピリオド、コンマ、疑問符など)、行末(行の最後の位置で、次の行へ視線を移すタイミング)、そして単語の頻度(使用頻度が高い単語と低い単語)に着目し、それらがまばたきに及ぼす影響を調べました。
その結果、合計で約3万回以上のまばたきが記録されました。
そしてまばたきは、句読点の位置で約4.9倍、行末で3.9倍、句読点と行末が一致する場合に6.1倍も増加すると分かりました。