科学的な視点—シロイルカの発声能力とは
この現象の背景には、動物の音声模倣能力が関係していると考えられている。専門家によれば、このシロイルカは、水中で人間の話し声を聞き、それをまねた可能性が高い。人間が水中で会話をする際にはダイビング機材を使用するため、その声はこもった音になり、イルカがそれをまねると、より奇妙な響きとなるのだ。
実はシロイルカだけがこのような発声能力を持っているわけではない。2018年には、メスのシャチ「ウィキ」が人間の言葉を模倣することに成功したという研究が発表された。この研究では、ウィキが「ハロー(Hello)」や数字の「ワン・ツー・スリー(One, Two, Three)」といった言葉をまねて発声したことが確認された。さらに、彼女は他の動物の鳴き声、例えばオウムの鳴き声さえも再現したという。
この研究に関与した英セント・アンドルーズ大学のジョゼップ・カール教授は、「クジラやイルカが体の動きをまねる能力を持っていることは以前から知られていた。しかし、彼らが自然界にない音を学習して再現できるというのは、非常に珍しい能力だ」と説明している。実際に、このような音声模倣能力を持つ動物は限られており、鳥類のオウムやカラスなど一部の種にしか見られない。
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(画像=画像はUnsplashのSaanvi Vavilalaより,『TOCANA』より 引用)