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容器に入った少量の白い粉末に水を注ぐと、膨張し、大量の雪のような物質になる。
まるで手品のようなこの現象はなんなのでしょう?
この映像を見ると、この粉末は非常に給水能力の高い物質で、少量で大量の水を吸収してしまっているのだと考えられます。
これに該当する物質の候補としては、「ポリアクリル酸ナトリウム」と呼ばれる物質が考えられます。
これは日常生活の様々な場面で活躍しており、赤ちゃんの紙オムツにも使われています。
では、どうしてポリアクリル酸ナトリウムは、少量で大量の水を吸収することができるのでしょうか。今回はその性質について解説します。
目次
- 魔法の粉の正体は高吸水性ポリマー
- 水を保持できる理由は「網目構造」
- ポリアクリル酸ナトリウムは日常生活で役立っている!安全性は?
魔法の粉の正体は高吸水性ポリマー
水を注ぐだけで膨張するこの粉末は、架橋処理を施した「ポリアクリル酸ナトリウム」です。
「高吸水性ポリマー(SAP)」とも呼ばれています。
そしてこれは、自重の数百倍から約千倍まで水を吸収・保持できるため、水を注ぐとGIF画像のような現象を起こします。
では、どうして高吸水性高分子(架橋したポリアクリル酸ナトリウム)は大量の水を吸収し、保持できるのでしょうか。
まず、高吸水性高分子のイオン濃度は、水中のイオン濃度よりも高い状態にあります。
そのため、高吸水性高分子が水に接触すると、浸透圧が発生。
浸透圧とは濃度の異なる液体が半透膜を通して接した時、濃度を一定に保とうとして水が移動する力のことです。
この浸透圧により、濃度の低い方から高い方へと水が移動する力が生じ、高吸水性高分子は水を吸水するのです。