――一方で、「リフォームUK」が躍進しました。
また、「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ氏は、保守党の腐敗を批判し改革を掲げています。ファラージ氏はX(旧Twitter)やTikTokなどのソーシャルメディアを活用して支持者との接点を広げていますが、その主張が具体的な政策として結実するかどうかは未知数です。特に、元々はブレグジット党を率いていた彼の役割が終わりつつある中、SNSだけで国民の信頼を得るのは困難な状況といえるでしょう。
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ナイジェル・ファラージ氏 Wikipediaより
――アメリカはいかがでしょうか。
アメリカは、物価上昇や生活コストの増加がイギリスより深刻です。家や車の価格が大幅に上昇し、燃料費も高騰しています。公務員の知人は、家計が厳しく、子どもの大学費用をどう工面するか悩んでいると話していました。特に私立大学の場合、学費や生活費を含めると年間1,000万円近くかかることもあり、公立大学であっても4年間で1,600万円以上の出費が必要です。
これらの状況を背景に、生活コストを抑える工夫が求められているものの、それを実現するには相応の投資が必要です。たとえば、教育費の問題は多くの家庭にとって深刻であり、奨学金や借金に頼る家庭が増えています。さらに、ITや金融業界でリストラが進む中、若者たちは卒業後も安定した仕事に就ける保証がなく、将来への希望を抱きにくい状況が続いています。
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トランプ大統領インスタグラムより
――その反面、人手不足は深刻化しているようですが。
イギリスでも、最近の移民政策やビザの変更が問題視されています。かつて存在した大学院卒業者が卒業後に一年間イギリスに留まって就労経験が積める「トレイニービザ」は廃止され、家族を伴うビザも制限が厳しくなりました。その結果、インドや中国などからの優秀な学生や労働者がイギリスを選ばなくなり、ITやエンジニアリング分野での人材不足が深刻化しています。一方で、アメリカでは一時的にトランプ政権下で高度なスキルを持つ外国人労働者の受け入れが拡大しましたが、現在はビザ発行数が減少し、同様に人材確保が課題となっています。