昨年末に日本に帰国された谷本真由美さん(@May_Roma)に、今回も海外からの視点で見た日本の現状や課題についてお話を伺いました。

今回の記事は、その第3回目(全4回)です。(前回の記事はこちら)

――イギリスの教育行政はうまくいっているのでしょうか。

イギリスの政治的背景が教育に与える影響についても考えさせられます。たとえば、労働党のキーア・スターマー党首は、学生時代に左翼系の活動に参加していた経歴を持ち、その政策や姿勢が教育現場に反映されているという指摘があります。ただし、スターマー首相の出身地は比較的裕福で教育水準の高い地域であり、同級生の多くがジャーナリストや政治家として成功していることを踏まえると、イギリスにおける教育格差の問題は依然として根深いといえるでしょう。

――労働党に変わってイギリスの政治は変わってきましたか。

与党と野党の双方に対する不満が高まっています。労働党は経済政策で失敗を重ねています。たとえば、コロナ禍で経済が低迷する中、国民年金と公的健康保険をあわせた国民保険料(ナショナル・インシュランス)の引き上げや、私立学校の学費に対する20%の消費税の適用など、一連の増税措置が国民に大きな負担を強いる結果となり、経済活動の停滞を招いています。

さらに、農業政策においても、政府の土地利用に関する規制強化により農地が削減され、一部の農家が廃業を余儀なくされる状況が問題視されています。このような政策に対する批判が高まり、財務大臣自身も「失敗だった」と認めたものの、彼の経歴には銀行での短期間の勤務経験しかなく、専門性の欠如が指摘されています。

スターマー党首も、裕福な家庭出身でありながら学生時代に左翼系活動に関与した経歴を持っています。そこから政治家としてのキャリアを比較的順調に歩んできました。しかし、彼の政策は抽象的であり、国民にとって具体的な解決策が見えにくいという批判が根強い状況です。

キア・ロドニー・スターマー首相インスタグラムより