洪水伝説の起源とノアの方舟の正体

 ノアの大洪水の物語は、メソポタミアをはじめ世界各地の神話や伝承に類似した話が存在している。その最も有名な例が、紀元前2000年頃に記されたとされるシュメールの『ギルガメシュ叙事詩』である。この物語では、ウトナピシュティムという人物が神々の命令で巨大な船を建造し、大洪水から生き延びたとされている。

 歴史家によれば、旧約聖書の創世記の最も古い部分は紀元前1000年以前には書かれていなかったとされており、それ以前にシュメールやアッカドを通じてメソポタミアから伝わった洪水伝説を改変した可能性があるという。これが、旧約聖書の内容が後世にわたって何度も書き換えられ、洪水伝説が変化していった理由の一つと考えられている。