2つの疑問点

 危機管理・広報コンサルタントで、長年、企業・自治体の管理職向けに模擬緊急記者会見トレーニングや危機管理広報、SNSリスク対策研修・セミナーの講師なども手掛けてきた平能哲也氏はいう。

「今回のスシローの対応は危機管理広報(クライシス・コミュニケーション)、企業広報の観点からも理解に苦しみ、多くの人から納得を得られる判断とはいいにくいと思われます。スシローは鶴瓶さんを広告キャラクターとして起用した時は、その起用理由についても詳細にプレスリリースで紹介しており、サイト上から画像を消すのであれば説明が求められます。テレビCMも含めた広告に起用しているタレントの画像が突然、企業の公式サイトから削除されれば、世間は『何があったのか』『理由はなんなのか』と疑問に思うのが当然でしょう。現在のインターネット、SNSなどでは、こういう話題は憶測や噂を呼び、ネットメディアに取り上げられてさらに拡散されてしまいます。『女性自身』ウェブ版記事に寄せられた同社の回答を読んで納得する人は少ないでしょうし、同社が『具体的な理由は言わない(言えない)』という姿勢だけは伝わってきます。

 大きな疑問点は2点あります。まず、鶴瓶さん本人、もしくは所属事務所に事実確認を行ったのかという点です。もし仮に確認をした上で問題行為はなかったという回答を得たのであれば、広告出演契約に基づいて起用を続けるというのが自然な対応でしょう。スシローは企業理念として『素直に話を聞き、最後まで行動します』という文言を掲げていますが、まさにこの言葉に沿って鶴瓶さんの話を聞くべきではないでしょうか。

 2つ目は、お客さまからどのような声が寄せられているのかを明らかにしていないという点です。もちろん顧客情報は秘匿したうえですが、寄せられた意見をいくつか挙げて説明するのは可能では。その点に触れずに『総合的判断』だとして曖昧な回答に終始すれば、今回の件について、新たにお客さまからの問い合わせが増えるリスクもありますし、鶴瓶さんのファンからは『どういう理由で削除したのか』とクレームが寄せられる事態も想定できます。そうした声も踏まえて、『そういうことなんだ』と誰もが納得、理解できるような具体的なステートメントやコメントを発表するべきだと考えます」

(文=Business Journal編集部、協力=平能哲也/危機管理・広報コンサルタント)

提供元・Business Journal

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