1月25日付「週刊文春 電子版」(文藝春秋)記事は、中居正広さんと被害女性の間でトラブルが起きた会合の以前に行われたバーベキューパーティーに、2人とフジテレビ幹部社員、タレントの笑福亭鶴瓶さんとヒロミさんが参加していたと報道。鶴瓶さんとヒロミさんは途中で帰宅して何もなかったと話しているが、鶴瓶さんをテレビCMなど各種媒体で広告として起用してきた回転寿司チェーン「スシロー」が、公式サイト上から鶴瓶さんの画像を削除したことが議論を呼んでいる。運営会社FOOD & LIFE COMPANIESは「女性自身」(光文社)の取材に対して「お客さまから様々な声をいただいている現状を踏まえ、総合的に判断し順次対応しております」と説明しているが、問題行為を行った疑いすら伝えられていない段階で広告に起用するタレントの画像を消すという行為に、疑問の声もあがっている。今回のスシローの判断をどう考えるべきか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 幹部社員が女子アナウンサーを接待や懇親会の席などに同席させていた疑いも浮上しているフジテレビは17日、記者会見を実施したが、出席するメディアを記者クラブに加盟する社に限定し、会見の模様の映像の撮影を禁止。さらに、立ち上げる調査委員会を日弁連の定義に基づく第三者委員会の形態にはしないと説明したことを受けて批判が拡大。大株主である米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツなどから抗議の書簡を受けたこともあり、フジ・メディアHDは23日の臨時取締役会で、日弁連のガイドラインに従った第三者委員会の設置を決議。27~28日には改めてオープンなかたちで会見を行った。

 27夕方~28日未明にかけて行われたこの会見では港浩一社長、嘉納修治会長の辞任と、清水賢治専務の新社長就任が発表されたが、経営陣が約10時間にもわたって記者から厳しい質問を投げかけられる様子は10分のディレイで放送され、多くの人を釘付けにした。事態が大きく転換したのは翌29日。中居さんとの間でトラブルがあった会食に被害女性を誘ったのはフジテレビの幹部社員だと報じていた「週刊文春」は、誘ったのはフジ幹部社員ではなく中居さんだったと訂正。これまでフジテレビは一貫して幹部社員による当該会合への関与を否定しており、フジテレビ経営陣の会見の直後に訂正を発表した「週刊文春」の姿勢にも批判が集まっている。

 注目されているのがスポンサー企業の動きだ。会見翌日18日にはトヨタ自動車や日本生命保険など大手企業がフジテレビ番組でのCM放送の見合わせを発表し、この動きに追随する企業が続出。その数は現時点では70社以上に上っている。フジテレビは放送見合わせ分の広告料金について返還し、さらに2月以降の放送広告契約のキャンセルにも応じる方針であり、すでにキャンセルする企業が相次いでいる。

世間の反応に敏感にならざるを得ない

 そうしたなか、スシローは前述の対応をみせ、これに対し疑問の声もあがっている。広報業務の経験がある大手メーカー管理職はいう。

「スシローは直接、消費者にサービスを提供するBtoC企業であり、回転寿司業界は何かとSNS上で話題になりやすいという特性もあり、世間の反応に敏感にならざるを得ないのは理解できる。ただ、今回の対応については先走り過ぎている感もある。今後、どのような反応があがり、それに対してスシローがどのような対応をみせるのかというのは、今後の企業の広報にとって非常に参考になるかもしれない」