SNSを見てみると、まるで訪日外国人が我が国で次々と重大犯罪を犯して、治安を破壊しているかのような印象を与える煽り投稿が少なくない。しかし、冷静になって統計の数字を見れば違った印象になる。
観光庁のデータでは、訪日外国人数は2024年11月の推計値で3337万9900人、このうち訪日外国人の摘発者数(刑法犯)は5735人で「約0.017%」なのである。「警察が認知していないものもあるはずだ!」と反論がありそうだが、さすがに実数の数百倍はないだろう。
また、警察庁のデータによると、犯罪が起きているエリアは関東の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)に集中しており、確かに様々な人が行き交う一部エリアでは、公共交通利用時の手荷物へ意識をした方が良さそうだが、「日本全体の治安を破壊した」と言えるほどのインパクトはないといえる。
インバウンド増加を悲しむ人たち昨今、インバウンド増加を嘆く投稿をよく見る。「犯罪が増加している!」「日本を安売りセール状態」といったものだ。
事実として特に窃盗が増加しており、彼らから見て割安かもしれない。しかし、全体論的にいえば、それでも「日本経済にプラス」と判断できるのではないだろうか?
だがいくら安くても、それだけで空前の売上や観光公害が生じるほど混み合わない。それは他の貧困国の観光事情を見れば答えが出ているはずだ。
前提として日本は魅力的であり、かつ安いから彼らも大挙しているのだ。加えて、昨今は円安が定着しつつあるもインバウンドは円買い圧力になるので、これはありがたいことである。実際、今や我が国における観光業は自動車産業に次ぐ第2位の「輸出産業」なのである。
確かに訪日外国人が増えすぎているのは事実である。ならば、観光地での売価や宿泊料を引き上げ、利用者の選別をすればいい。「不快だから外国人をいれるな」ではなく「訪日外国人の質を高め、さらに日本経済にプラスにできる戦略はどうすればいい?」と考える方が生産的だろう。