人類の限界に挑戦し続けるスポーツの世界で、時に「狂気」とも呼べる壮大な挑戦が行われることがある。2012年、オーストリアのスカイダイバー、フェリックス・バウムガルトナーが成し遂げた「宇宙からの自由落下」は、まさにそんな挑戦の一つであった。
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前代未聞の挑戦
バウムガルトナーは地上約3万9000メートル(成層圏)まで気球で上昇し、そこから地球めがけて飛び降りるという前代未聞の挑戦を行った。この高度は旅客機の巡航高度の約4倍にも相当する。彼は3万6000メートルの自由落下を行い、残りの距離をパラシュートで降下した。
この挑戦で彼は人類初の自由落下での音速突破、最高高度からのパラシュート降下、自由落下での最高速度という3つの世界記録を樹立した。しかし、この挑戦の成功は決して偶然ではなかった。6年にも及ぶ入念な計画と訓練、そして特別に設計された気圧服があってこそ実現したものだった。