アメリカ・ニュージャージー州で相次いで目撃されていた謎のドローンについて、ドナルド・トランプ大統領が「研究目的で許可されたものだった」と明らかにした。ホワイトハウスの報道官カロライン・リーヴィット氏は、大統領の第2期政権で行われた初の記者会見において、「ニュージャージー州で多数飛行していたドローンは、FAA(米連邦航空局)の許可を受けた研究目的のものだった」と発表した。

 リーヴィット氏は、「この情報は大統領自身から直接伝えられたものだ」としつつも、具体的にどのような研究が行われていたのか、またドローンの操縦者が誰なのかについては明らかにしなかった。ただし、「多くのドローンはホビー用や個人所有のものであり、好奇心から飛ばされるケースが増えた」と説明し、特定の敵対勢力による活動ではないと強調した。

謎のドローン、軍事基地やゴルフ場上空を飛行

 ドローンの目撃情報が最初に浮上したのは2023年11月のことだった。ニュージャージー州のモリス郡では、「自動車サイズ」の大型ドローンが確認され、その後、トランプ氏の所有するベドミンスターのゴルフ場や、複数の軍事施設上空でも目撃された。このため、「外国の諜報活動ではないか」との懸念が広がった。

 この件についてはバイデン政権時にも調査が行われたが、2023年12月には「異常な活動の証拠は見つかっていない」との見解を示していた。報告書では、ドローンがイランや中国と関連している可能性が取り沙汰されながらも、具体的な証拠は示されず、数千件に及ぶ目撃情報の検証も進んでいなかった。

 しかし、トランプ氏は選挙期間中に「大統領に就任した際には、ドローンの正体を明らかにする」と公約しており、今回の発表はその約束の一環とみられる。大統領は就任初日に首席補佐官のスージー・ワイルズ氏に対し、「この件をすぐに調査するように」と指示を出していた。