憲法改正案は政府のウェブサイトに公開されており、1か月間議論される。その後、議会で改革案の採決が行われる予定だ。隣国ハンガリーでは類似の規定が既に導入されている。ハンガリーでは未成年者に対して同性愛について話すことが禁止されている。
欧米社会では生物学的性と性自認が一致しないことで悩む人が出ている。男性、女性のどの性にも属さない性自認(ノンバイナリー)を主張する人も出てきている。人間は男性、女性の2性ではなく、その混合性を含んで3性が存在すると主張する知識人がいる。「女性は女性として生まれたのではなく、女性となるのだ」といったジェンダー問題での社会的条件を強調する学者もいる。
ドイツでは昨年4月、自己決定法案(Das deutsche Selbstbestimmungsgesetz)が発効された。この法律(自己ID)により、今後は性別登録と名前の変更が官庁で大幅に容易になる。これまで必要とされていた裁判所の決定と2つの専門家の鑑定書は必要でなくなる。
ちなみに、オランダが2001年4月1日、同性婚を最初に合法化して以来、欧州を中心に同性婚を認知する国が増え、2024年6月現在で37カ国が同性婚を認めている。スロバキアは2014年、憲法に「結婚は男性と女性の間でのみ成立する」という条項を加え、同性婚を認めていない。これと同様の憲法改正が行われている国は、ポーランド、ハンガリー、リトアニア、ブルガリアなどがある。ポーランドでは憲法で、「結婚は男性と女性の間で成立する」と明記している。
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トランプ大統領Xより
なお、トランプ大統領は27日、トランスジェンダーの人間が米軍で服務することを制限する新たな大統領令に署名すると共に、軍内部で実施されていた多様性、公平性、包括性(DEI)プログラムの廃止を命じている。トランプ氏の常識革命は続く。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年1月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。