ここからがポイントで国際水準では日本の財政は悪いので財務省としては支出を減らし、収入を増やすことで見栄えの良い収支にしたいわけです。とりもなおさず、財務省は国際派で「先進国レベルの水準や見栄えは維持したいよね」という願望をもっています。

一方、財務省を叩く人たちのポイントは「金はあるじゃないか?それぐらい使えよ」です。この違いは財政をフローで見るかストックで見るかの違いです。上記のGDP比といったものは国債の累積を当該年度のGDPと比較するわけです。ところが鼻息荒い後者の方はストック、つまり日本の資産ベースで見ているわけです。「借金ばかりに目を向けないで貯金を後生大事にしまい込まないで使うところで使ってよ」です。

財務省は「いやいや、これお金を以上使うと財務指標が悪化し、レーティング会社の厳しい格付けが待っているぞ」というわけです。使いたい派は「何いってんねん、日本で発行する国債は多くが日本国内で消化されているじゃないか。日本政府が借金し、日本人がその借金を買っているのだから格付けなんて何を申すか」というわけです。最近は日本国債も海外の引き受けが増えてきて約12%ぐらいの水準ですが、何と言ってもおよそ半分は日銀さまがご購入されているのです。「おまえ、これ、循環取引じゃないか?」と言いたいところはぐっとこらえます。

一般財政の歳入をじーっと見ていると多少不健全だな、という気はします。最大の収入源は消費税で24兆円、次いで個人所得税の18兆円。これは両方とも個人からの徴収ですから合わせて42兆円は国民のポケットから出ていることになります。ではその国民のポケットを提供する雇用主、つまり法人から上がる法人税は17兆円でこれがまだ不十分だと思います。ただし、私がいつも指摘する中小企業の淘汰と会社数の減少で法人税収入は確実に増えるはずです。

一方、支出は社会保障費が38兆円の断トツですが、医者好き、救急車好きの癖を直すことからでしょうね。私は本来持っている人間の自然治癒力を期待したいし、高齢者に健康管理をしっかりして元気で頂き、自立促進をするべきだと思います。そうすれば社会保障費の膨張対策は可能だと思っています。また、日本ほど財政出動が簡単な国もないと思います。私から見れば何でも出し過ぎ。それが逆にぬるま湯の日本を作っている気もします。