ヤオ族自体は中国湖南省から雲南省、東南アジア北部の山地に広く住む民族ですが、彼らにはサブグループがあり、黄洛瑶村の紅ヤオ族もその1つです。

紅ヤオ族において特に注目されているのが、女性たちの長髪文化です。

黄洛瑶村の女性たちには、18歳の成人式で一度だけ髪を切り、それ以降は髪を伸ばし続けるという習慣があるのです。

(幼いころに1度だけ髪を切るため、正確には人生で2度髪を切っています)

成人式で切られた髪は特別なウィッグとして保存され、祭りや儀式の際に使用されます。

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女性たちは生涯、髪を伸ばし続ける / Credit:Great Big Story(YouTube)_China’s Village of Real-Life Rapunzels(2018)

村の女性たちは、髪の長さが1.4メートルを超えることで有名であり、中には2メートルを超える長髪の女性も存在するのだとか。

こうした珍しい伝統により、現在でも集落に住む200人以上の紅ヤオ族の女性が、非常に長い髪を持っています。

最近では、彼女たちの存在が次第に話題となり、黄洛瑶村は「世界一髪の長い村」として知られるようになりました。

ではなぜ、黄洛瑶村の女性たちは髪を伸ばすのでしょうか。

紅ヤオ族のパン・ヨンアン氏は、「古来より、長い髪は美しさの象徴だと信じられてきました」と話します。

またこの紅ヤオ族の伝統文化は、3000年の歴史をがあると言われており、髪が神聖なものとされ、切らずに伸ばすことで幸運をもたらすと信じられてきました。

現代でもその文化と習慣は引き継がれており、女性たちは長い髪を大切にする習慣を次の世代に引き継げることを誇りに感じています。

髪がつなぐ伝統と現代―文化の発展と科学の視点

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現代では、長い髪を使ったパフォーマンスも行われる / Credit:Yao Secret(YouTube)_Yao Hair Therapy Kit(2021)