では、中国とロシアです。中国はあまり戦争にはかかわりたくないという姿勢がアリアリでどちらかといえば仲裁型です。ロシアも自国がウクライナと戦っている中でイスラエル問題には直接的には手出しをできません。むしろ、プーチン氏としては逆境だった自分の立場を少しでも改善させ、目線をウクライナ問題からイスラエルに向け、厳しい国際世論をかわそうとするのではないかとみています。

最大のキーはイランで、その動きはあまり伝わってきません。水面下でいくつかのシナリオを立てた上で作戦を練っているものと思われます。今回のイスラエル-ハマス問題で最悪のシナリオはイラン本体が参戦する場合です。その場合、単に地域戦争というレベルではなく、石油供給不安となり、原油が今の2倍の価格に跳ね上がる可能性があります。その場合、世界経済への影響は極めて大きい最悪のケースとなります。

イスラエルの後ろには西側諸国がいる一方で、中国は参戦には乗り気ではなく、ロシアは物理的に余力がないと考えればイラン本体の参戦は考えにくいと思います。対抗するならイランの骨格ともいわれるイスラム革命防衛隊の隠れ蓑を使ったテロ作戦になる気がします。ただ、そうなればなったでアメリカは再びイランとの関係を締め上げるでしょうから原油供給を含めた経済へのインパクトは出てきそうです。

日本の立場は人道支援にとどめるのではないかと思います。岸田首相は明確なイスラエル支援を表明するほど度量も器量もありません。むしろ支援表明のメリットとデメリットを計算した上で本件とやや距離を置くつもりではないかと思います。G7の中で蚊帳の外ともいわれますが、ここは日本の立場を考えても良いと思います。そもそも中東問題をしっかり理解している日本の政治家はあまりいないのですからあまり軽はずみな言動は避けるべきかと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年10月18日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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