ガザの病院での惨劇が大きなニュースになっていますが、これから数日の間にイスラエルとハマスの問題は重要な岐路に差し掛かります。イスラエルの姿勢次第で外交と世界に与える影響は大きく変わります。まずはその因子を見ていきましょう。

ガザ市の様子 NHKより

イスラエルはガザ地区への地上戦の準備は出来ているとしています。いつでも突撃可能です。 それを受け、バイデン大統領が18日にイスラエル入りし、ネタニヤフ首相と会談します。 バイデン氏は戦争仲裁ではなく、イスラエル支持をしながらも、ガザの一般人の安全確保を強く要請するものと思われます。 またアメリカ兵2000人の派兵準備の指示がアメリカ国防長官よりなされました。私見ですが、イスラエルがガザでの地上戦を行う際の後方支援、例えばヒズボラの動きをけん制し、イスラエル北部を安定化させ、イランをけん制する目的かと見られます。 プーチン大統領が北京入りしました。一帯一路の国際フォーラム出席のためですが、実際には習近平氏との会談が主たる目的と思われます。その際にウクライナ問題と共にイスラエルの件についても突っ込んだ議論がなされるとみられています。

バイデン/ネタニヤフ会談と習近平/プーチン会談が18日の同じころに行われるわけです。

まず、西側は何を目指すのでしょうか?

イスラエルは最大目的としてハマスのせん滅であり、その為にはガザ地区の地下施設や要塞、通路に壊滅状態にすることにあります。一部ではガザ地区のイスラエルによる再占領するのでは、という見方もありますが、それをすると見方によってはロシアによるウクライナ東部の侵攻を正当化してしまう可能性があります。よってそれはシナリオだけでそこまではないというのが個人的見解です。

そもそもガザ地区はオスマン帝国の支配下だったものが、第一次大戦後、英国の統治領に、1948年にはエジプトが、67年の第三次中東戦争でイスラエルが、そして93年のカイロ協定でパレスチナ自治政府下になるというすさまじい歴史が展開された地であります。仮にイスラエルがガザ地区を実効支配するつもりならイランを先頭に中国、ロシアを焚きつけることになります。それこそ世界を巻き込んだ地域戦争になってしまいます。

バイデン氏は今回のイスラエル支援表明は本心とずれていた可能性があります。もともとイランとの関係改善を進める中で不意打ちのような今回の事態で自らの外交の失敗をイスラエル支援という形で方針転換を図り、来年の大統領選につなげるという野望でしょう。イスラエル支援を明白に打ち出さないと弱腰とか軟弱外交と共和党から厳しい糾弾があるわけで、ブリンケン国務長官がイスラエルと周辺国を訪れ、事前調整した際も珍しいほど明確なイスラエル支持の意思を表明しています。