
ベゴーニャ・ゴメス夫人(写真中央)
例えば、日本で夫が首相であるという地位を利用してその夫人が投資や取引の斡旋業を始めたら首相は社会的批判を受けて辞任に追い込まれるのは必至であろう。それに似たようなことがスペインのサンチェス首相とベゴーニャ・ゴメス夫人の間で起きていた。
スペインでこのような事態が発生すれば、法的にも違法行為とされており、また社会的にも強い批判がある。だから当然サンチェス首相が解任または辞任に追い込まれるのは必至であるはずである。が、事態はそのように展開していない。事の事態を以下に説明したい。
首相夫人が企業の事業投資などを誘う仲介業を開始サンチェス氏は2018年6月に首相に任命された。それに関連して夫人のベゴーニャ・ゴメス氏はAfrica Center という名の斡旋業を開始。それを支えているのはAPD MAROCという組織体で、それはモロッコの企業家2万人を包括した組織体である。
彼女の首相夫人という特権を利用しようとした人物が現れた。観光ビジネス企業の大手グループグロバリア(Globalia)のCEOハビエル・イダルゴ氏だ。このグループの傘下にスペインで第2の航空会社エアーエウロパ(Air Europa)がある。イダルゴ氏はベゴーニャ・ゴメス氏とは彼女の夫が首相になる以前から知っていた。しかし、彼女の夫が首相に成れば、両者の関係は自動的にひとつステップアップした。イダルゴ氏はベゴーニャ・ゴメス氏が主催するAfrica Centerのプロモーターになった。このプロモーター企業というのはワカルア社(Wakalua)。
このプロモーター事業の一環として、イダルゴ氏は彼のアドバイザービクトル・デ・アルダマ氏と一緒になってベゴーニャ・ゴメス氏に2つのビジネスの提案をした。ひとつは医薬品を処方箋なく過疎地に配達する事業だ。これにスペイン医薬品医療機器総合機構が認可しないので、彼女を介して夫のサンチェス首相がこの障壁を取り除いてくれないかと懇願したようだ。
また、もう一つのビジネスがは過疎地を利用して、そこに高級リゾート地を建設するプランだ。
しかし、この2つのプランはコロナ禍のパンデミックが影響してその後進展ないままで終わった。