実際に医療分野でAIが使用される場合も、複数の質問が投げかけられるケースがあります。
患者の症状について異なる形式で質問を行い、その回答をAIが統合することで、診断の精度を向上させるのです。
例えば、患者の症状を知りたい場合、あるプロンプトでは「症状の進行状況はどうか」と質問し、別のプロンプトでは「どの治療が最適か」を尋ねるといった具合です。
そして最後に、「患者はどんな症状ですか」と尋ねることで、AIはこれまでの情報を統合し、より精度の高い答えを示してくれます。
ここで得られる回答は、単に「どんな症状ですか」と1回質問する以上の精度であり、AIがミスする可能性が小さくなります。
もし、人間に対して、このような質問を繰り返し尋ねるなら、人間は「なぜ、同じようなことを何度も尋ねるのだ」と煩わしく感じるものです。
しかしAIにはそのような感情はありません。
まさにAIに特化したミス対策なのです。
ちなみに、別の分野の対策としては、「AIのミスを人間のミスに近づける」という手法もあります。
AIのミス傾向を、より人間らしいミス傾向に近づけていくというものであり、この分野でも研究が進められています。
いずれにせよ、現在見られるAIのミスを単なるエラーと見なすべきではありません。
その特性を理解し、適切に対処することで、AIは私たちの生活をより豊かにするツールとなるでしょう。
「キャベツがヤギを食べる」というような奇妙なミスが出力されたときこそ、そのミスに隠されたヒントを探ることで、AIと人間が共存する未来を築いていけるのです。
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参考文献
AI Mistakes Are Very Different Than Human Mistakes
https://spectrum.ieee.org/ai-mistakes-schneier
元論文
Ask Me Anything: A simple strategy for prompting language models
https://doi.org/10.48550/arXiv.2210.02441