古来から続く「感動の共有」という本質

 最初に登壇したのは、ソニーグループ 執行役 副社長 CSOの御供俊元氏。御供氏はまず「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というソニーのパーパス(存在意義)を紹介し、それを実現するために「人に近づく」という経営方針を掲げていると説明した。そのうえで、「なぜエンターテインメント企業であるソニーがWeb3事業に乗り出すのか」というテーマに正面から向き合った。

「ブロックチェーンや暗号資産といったWeb3技術は、かつて投機的なマネーゲームの道具として強調されることが多かった。しかし、私たちが目指す世界はそうした投機と切り離されたものだ。古来、絵画や陶器などクリエイティビティの高いものが、所有者の‘裏書’や受け継ぎの履歴によって価値を高めてきたように、Web3は本来、人々の感動や文化的価値を保存・共有する仕組みとして活用できる」

 御供氏はこう述べ、中世の日本で茶器に記された“裏書”や、欧州の貴族が画家を支援する形で絵画の価値を高めてきた歴史を引用し、「感動の共有」こそがWeb3の根幹にあると力説した。ソニーグループがブロックチェーンを含むWeb3技術を導入することで、ファンとクリエイターがより深く結び付き、コンテンツや体験の価値が連鎖的に拡大していく未来を実現したいというのが大きな狙いである。