中国では非常にモダンな監視システムが既に実行されている。中国の「社会信用スコア」システムだ。中国共産党政権は2014年、「社会信用システム構築の計画概要(2014~2020年)」を発表した。それによれば、国民の個人情報をデータベース化し、国民の信用ランクを作成、中国共産党政権を批判した言動の有無、反体制デモの参加有無、違法行為の有無などをスコア化し、一定のスコアが溜まると「危険分子」「反体制分子」としてブラックリストに計上し、リストに掲載された国民は「社会信用スコア」の低い二等国民とみなされ、社会的優遇や保護を失うことになる。

昔も現在も、独裁国家では国民を監視するシステムを構築されている。「密告社会」はその典型だろう。親が子を、子が親を、そして妻が夫を密告する社会だ。それを通じて、人を信じる、愛することが難しくなっていく。そのような中でも、良心だけは依然、誰にも宿しているから、その良心の声に耳を傾ける人間が出てくる。彼らの多くは独裁者によって抹殺されたり、殉教の道を行く。

それでは、「良心の囚人」は無意味か。そうではない。アウシュビッツ強制収容所で他の囚人のユダヤ人のために身代わりになったマキシミリアノ・コルベ神父がいた。同神父は神の声をその良心で聞き、それに従った。その話はアウシュビッツ収容所が解放された後、多くの人々に述べ伝えられ、多くのユダヤ人を慰めた。

独裁者は人間の中にある良心の声を恐れるから、徹底的に人間の尊厳を傷つける手段でその良心を黒いカバーで覆い隠そうとする。しかし、良心を抹殺することは出来ない。人間の魂に刻印された良心は民族、国家を超えて全てに埋め込まれている。だから、神はその良心というチャンネルを通じて語りかけることができるわけだ。良心がなければ、神も人間に働きかけることはできないはずだ。

1月27日は「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」 (International Holocaust Remembrance Day)であり、追悼行事が各地で開催された。そして来月16日はナワリヌイ氏の2周忌を迎える。

ホロコースト生存者の体験を聞く催し International Holocaust Remembrance Day HPより