2024年8月、南アフリカの望遠鏡によって発見された小惑星「2024 PT5」が、科学界に大きな話題をもたらしています。

一見すると、地球近くを通過する他の小惑星と変わりませんが、この天体は特別です。

最新の研究によれば、2024 PT5は月面の衝突によって放出された「月のかけら」である可能性が高いことが明らかになったのです。

この研究は、米国アリゾナ州にあるローウェル天文台(Lowell Observatory)のセオドア・カレタ(Theodore Kareta)氏を中心とする国際研究チームによって行われました。

彼らはNASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)やメリーランド大学(University of Maryland)とも協力し、2024 PT5の軌道やスペクトルを分析し、その結果を報告しています。

この研究の成果は、2025年1月20日付の『Astrophysical Journal Letters』誌に掲載されています。

目次

  • 小惑星「2024 PT5」は、月の一部だった!?
  • 2024 PT5は「小惑星帯から来たのでも、人工物でもない」

小惑星「2024 PT5」は、月の一部だった!?

地球の周囲を回る天体といえば月が思い浮かびますが、実はごく稀に地球の重力に一時的に捕らえられる小さな天体が存在します。

これらは、その軌道から”ミニムーン”と呼ばれることがあり、「2024 PT5」もその名で呼ばれていました。

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小惑星「2024 PT5」のイメージ。/ Credit: NASA/JPL-Caltech

この地球近傍小惑星「2024 PT5」は、直径が約10メートルであり、スクールバスほどの大きさです。

2024年9月から11月にかけて、2024 PT5は地球を数週間にわたり周回し、その後、地球の重力圏から脱出して、再び太陽を周回する自由行動に移りました。

このような現象は極めて珍しく、観測のチャンスも限られていることから、人々の関心を集めました。