私は日韓関係が悪いひとつの理由は「似た者同士」のところがあるだとみています。そして過去のことに固執し、そのイメージを引きずっています。作られたイメージはなかなか修正できないのですが、世代が2つぐらい若い人たちになるとだいぶ変わります。また日本人がもつ韓国のイメージは経済や社会的格差の意識が多少なりとも影響しているのですが、今世紀に入ってからの経済格差は縮まり、一部の指標では日本の上をいくものもでてきています。つまり「似た者同士」の上から目線だったのものが本当の意味での「似たレベル同士」に変わりつつあるのでしょう。

私は冒頭、日韓関係は日米関係のようにならないと申し上げたのは日本とアメリカは戦後の「舎弟関係」的スタートのち、横綱と小学生のような体力差を踏まえ、のび太とジャイアンの様な親密さを築き上げたと思っています。一方、日韓関係も舎弟関係に近いとみています。ところが韓国と北朝鮮も兄弟で北朝鮮が兄役。なので韓国は劣等感からの脱却意識が今に至っているのだと思います。日本にたてつくのも日本が相手だからできるのであって、アメリカや中国にはなかなかできません。

もちろん日韓関係は未だに紆余曲折、3歩前進2歩後退です。例えば元慰安婦による訴訟で11月23日、韓国高裁が日本政府の賠償責任を認めました。国際法上は「主権免除」、つまり被告が国家やそのその下部組織の場合には外国に裁判権は無いという大前提があるにも関わらず、高裁は「主権免除」の例外判断がふえていることを論拠の拠り所としました。こういうのを「結論ありきの論理構成」というのです。この判断は原告も勝つと思っていなかったのでびっくり、日本政府は怒り心頭、上川外務大臣が韓国の外相に厳しく迫りました。今回の高裁の判事の様に公平に物事を判断できない不満分子はたくさんいるということです。

よって日韓関係は簡単ではないし、来年の韓国総選挙の結果次第では尹錫悦大統領の立ち位置にも影響が出るでしょう。ただ、私がカナダで見る限り、韓国の日本に対する国民感情は少なくとも今は順風です。安倍元首相がいみじくも述べたように日韓関係が未来志向あるべきということは重要です。多くの日本人女性が韓国のファンとなっていることは彼女たちこそ、民間外交官であるのです。これは尊重すべきです。

今後も両国間に問題が生じたならばそれは当事者が責任をもって解決し、メディアが必要以上に煽り立てることを避けるのが成熟国としての立ち振る舞いだろうと考えています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月27日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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