世界的実業家であり、トランプ米大統領の最側近の一人、テック業界の億万長者、イーロン・マスク氏は25日、ハレで開催されたドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の公式選挙キャンペーン開始集会にビデオ出演し、AfD支持をアピールした。
ドイツでは来月23日、早期連邦議会選挙が実施される。複数の世論調査によると、AfDは野党第1党「キリスト教民主・社会同盟」(CDU・CSU)に次いで第2党についている。4500人余りの党員が集まったハレの会場でマスク氏はアリス・ヴァイデル党首によるスピーチの冒頭で米国からビデオ出演し、「AfDこそがドイツの最良の希望だ。ドイツ人であることを誇りに思うことは良いことだ」と語り、「ドイツの素晴らしい未来のために戦え」と党員たちに発破をかけ、「過去の罪に焦点を当てすぎず、それを乗り越えなければならない。子供たちは曾祖父母の罪で責められるべきではない」と述べ、ナチス・ドイツの戦争犯罪問題に捉われず、未来に対して楽観的であるべきだと呼びかけた。
マスク氏は「ヴァイデル党首が首相になれば、ドイツにとって非常に良いことだ」と繰り返し、AfD支持を表明。「AfDは私の完全な支援を受けており、トランプ政権からも支援を得ていると信じている」と述べた。それに対し、ヴァイデル党首は、トランプ政権への感謝の気持ちを述べている。
ちなみに、マスク氏とヴァイデル党首は今月9日、マスク氏が運営するプラットフォーム「X」で75分間余りの対談を行ったばかりだ。マスク氏はドイツの既成政党を批判し、「希望はAfDだけだ。AfDだけがドイツを救う」と表明してきた。マスク氏は、独連邦憲法擁護庁によって「極右の疑いがある」と認定されているAfDへの選挙広告を行い、ドイツの代表紙「ヴェルト日曜版」に寄稿を掲載している。