ロシアに派兵された北朝鮮兵士の惨状は少し前に韓国の国家情報院から発表された時が死者300名、負傷者2700名あまりでした。これが数日前のBBCでは死傷者数は4000名、うち1000人が死亡と報じています。多くはロシアのクルクスに派兵されているので、ウクライナ軍が侵攻したロシア領においてウクライナ軍の更なる拡大を阻止し、国境線まで押し返す、これが北朝鮮兵に課された任務でありましょう。
形の上ではロシア軍の傘下に師団を作っての活動であろうと思いますが、言葉のギャップが当初指摘され、味方同士で相打ちをするなどの問題や北朝鮮軍が実戦に不慣れであることも指摘されています。実戦に不慣れというのは戦争当事国を除けばどこでも同じでこれは日本の自衛隊でも全く同じことは言えるのでしょう。
それ以上に私が思うのは北朝鮮が国家として情報操作していたことが兵士の損失につながっているとみています。末端の兵士は世界で何が起きているのか、あるいは戦争のレベルがどういうものであるのかといった基本教育がほとんど欠落していて未知との闘いを強いられているようです。捕虜になった北朝鮮兵は自分たちがウクライナの戦争に来ることは知らなかったと述べています。捕まりそうになって自爆しようとして「金正恩将軍」と叫んだというのも80年前の戦争時代から何ら変わっていないように見えます。
北朝鮮は派兵された兵士の家族に手厚い対応をしているようにも見えず、兵士の給与が高いわけではなく、将来一種の「英雄」扱いにされるだけが条件のように報道されています。ほとんど無知な若者を国家の外貨稼ぎと先端技術の導入のために引き換えで差し出されたとしてもおかしくありません。
ロシアにおける北朝鮮軍の惨状は北朝鮮国内ではかんこ令が敷かれているようですが、実際には漏れ伝わっている感じも見受けられます。北朝鮮軍は陸軍を中心に128万人いるとされています。ある意味、今までよく食わせてきたと思います。ちなみに韓国軍は総数50万人でうち陸軍は42万人です。数だけみれば北朝鮮が圧倒していますが、実際の戦力となるとかなり落ちるということが今回判明してしまいました。これは韓国軍にとって「北朝鮮軍は言うほどでない」というイメージを植え付けたかもしれません。