アヌンナキは、シュメール文明の「創造神」として知られ、多くの人々から人類文明の礎を築いた存在とみなされている。そして、一部の考古学者は、アヌンナキが南米のプレ・インカ文明やインカ文明とも深い関係があると主張している。この説を支持する根拠の一つとして、「フエンテ・マグナのボウル」という遺物が挙げられる。

チチカカ湖とアヌンナキの謎「黄金の遺物と古代宇宙飛行士説」
(画像=By none、『TOCANA』より 引用)

 フエンテ・マグナのボウルとは、ボリビアのチチカカ湖近くで発見された石の器である。この器には、シュメール文明で用いられていた楔形文字(くさびがたもじ)や象形文字に似た刻印が見つかっており、アヌンナキのような存在が古代南米文化と何らかのつながりを持っていた可能性を示唆するとされる。発見当初から真偽を巡って論争が絶えないが、この遺物は古代宇宙人説やアヌンナキ関連の議論で頻繁に言及される象徴的な存在である。

 しかし、現代の主流派考古学は、フエンテ・マグナのボウルを証拠として認めるには至っておらず、これらの理論を否定的に捉えている。

ティティカカ湖と水中考古学の発見

 チチカカ湖は、このアヌンナキ説において特別な位置を占める。湖底からは過去に2000点以上の考古学的遺物が発見されている。これらは主にベルギーの水中考古学者たちがアンデス水中考古学センター(CASA)の支援を受けて発掘したものであるが、現代の考古学界ではあまり注目されていない。

 湖底で発見された遺物には、骨、像、金製品、貴石、陶器などが含まれる。その中にはインカ時代やプレ・インカ時代に由来するものが多く、一部は紀元500年頃のものとされる。歴史家や考古学者によれば、これらの遺物はティワナク文化の住民が神聖な儀式の一環としてティティカカ湖に投げ入れた「供物」である可能性が高いという。

チチカカ湖とアヌンナキの謎「黄金の遺物と古代宇宙飛行士説」
(画像=画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)