新型コロナウイルスの感染拡大の影響でEC需要がさらに伸び、運送各社の業績が好調だ。特にヤマトホールディングスは直近の決算で経常利益が94.6%増となり、注目を浴びている。この記事では、このような状況にある運送業界各社の年収ランキングを紹介する。
どの運送会社が最も年収が高い?
まずは、上場している大手運送会社の各社の平均年収ランキングを紹介する。年収が高い企業はどこだろうか。
上場企業の従業員の平均年収は、事業年度ごとの「有価証券報告書」で確認できる。以下のランキングでは、各社の最新の有価証券報告書における数字を引用した。企業によって1,000円単位で発表しているところと、1円単位のところがある。
<大手運送会社の平均年間給与ランキング>
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | ヤマトHD | 970万9,629円 |
2位 | 日本郵船 | 934万8,060円 |
3位 | 阪急阪神HD | 879万8,216円 |
4位 | 日立物流 | 824万円 |
5位 | 日本郵政 | 798万5,000円 |
6位 | センコーグループHD | 725万369円 |
7位 | セイノーHD | 714万9,000円 |
8位 | 近鉄エクスプレス | 704万1,781円 |
9位 | ロジネットジャパン | 668万円 |
10位 | SGホールディングス | 667万4,163円 |
平均年収が900万円を上回っているのは、傘下にヤマト運輸を持つヤマトホールディングスと日本郵船の2社だ。ヤマト運輸は約970万円で、あと少しで1,000万円に届きそうだ。一方でトップ10において平均年収が600万円台なのは、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスとロジネットジャパンの2社だ。
ランキング1位のヤマトHDの業績や平均年収の推移は?
ここからは、ランキングで1位になったヤマトホールディングに焦点を当て、同社の業績や平均年収の推移を紹介していこう。
最新決算:営業利益94.6%増、通期で過去最高益に
ヤマトホールディングスは2021年1月29日、2021年3月期第3四半期の連結業績(2020年4~12月)を発表した。結論からいえば、コロナ禍を追い風に非常に業績が良かった。
売上高に相当する営業収益は前年同期比3%増の1兆2,956億7,600万円で、営業収益は同79.2%増の897億4,700万円、経常利益は同94.6%増の911億3,000万円、最終利益は同81.1%増の568億7,000万円だった。
通期予想も上方修正した。経常利益は前回予想の680億円から820億円へ20.6%増やし、15期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。
ヤマトホールディングスは第3四半期における増収の要因を「成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したこと」と説明し、利益の大幅増については経営資源の最適配置による集配効率の向上や、幹線輸送の効率化を理由として挙げている。
平均年収の推移:「年収1,000万円企業」となる日も近い!?
ヤマトホールディングスの平均年収は、近年右肩上がりだ。2016年に800万円台になり、2年後の2018年には900万円台になった。
<ヤマトホールディングスの平均年収の推移>
2020年3月末時点:970万9,629円
2019年3月末時点:956万3,058円
2018年3月末時点:939万6,397円
2017年3月末時点:866万9,521円
2016年3月末時点:886万7,941円
2015年3月末時点:777万3,684円
※各事業年度の有価証券報告書から抜粋
新型コロナウイルスの感染拡大が収束すれば、一時的に巣ごもり需要による宅配ニーズは縮小するかもしれない。しかし、コロナ禍をきっかけにECサイトを利用する人が増えたことを考慮すると、中長期的にEC需要はさらに伸びていくと考えられる。
ヤマトホールディングスの業績は、今後も堅調な成長が期待できる。ヤマトホールディングスが「年収1,000万円企業」と呼ばれる日も、そう遠くはないかもしれない。
次世代宅配システムの構築で、平均年収はさらにアップ!?
ただし、現在運輸業界では多くの企業が直面している課題がある。それは、少子高齢化による「人手不足」だ。EC需要が伸びたとしても、宅配を担う人員を確保できなければニーズを受け止めきれず、売上増につなげられない。
そこで最近ヤマト運輸などが力を入れているのが、自動運転車やドローンを使った次世代宅配システムの構築だ。2018年にはDeNAと協力し、自動運転車を使った次世代物流サービス「ロボネコヤマト」の実証実験に取り組んだ。
このような次世代宅配システムの構築にいち早く成功すれば業績がさらに良くなり、従業員の平均年収も、さらに他社を大きく引き離すことになるだろう。
執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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