予測不可能な氷山の動き
氷山の動きは予測が難しい。水温の上昇による融解や側面からの大規模な崩落が絶えず発生するためだ。現在の予測では、A23aは海流に押されて「氷山の墓場」とも称されるドレーク海峡に向かう見込みだ。この海域は氷山が融解しやすいが、サウスジョージア島とサウスサンドウィッチ諸島はその東端に位置しており、接近する氷山からの脅威を受けやすい。
「サウスジョージア島は『氷山の回廊』に位置しているため、漁業や野生動物への影響が予想される。しかし、これらは順応する力を持つ」と、サウスジョージア政府の海洋生態学者マーク・ベルチア氏は述べた。
過去にも類似の事例が記録されている。2004年には、巨大氷山A38が島の大陸棚に衝突し、ペンギンやアザラシの餌場を封鎖。多くのひなや子供が餓死する惨状を招いた。