すると温泉ヘビは、これら2種に比べて、俊敏かつ頻繁に暖かい岩を選択できることが判明したのです。

よって彼らは、高度に発達した熱感知器官をもとに、適度に暖かい場所を探すことができると考えられます。

それから温泉ヘビは熱ダメージ修復タンパク質も発達させており、他種のヘビに比べて、熱すぎる環境への耐性や回復力も高くなっていました。

研究チームは以上の結果を踏まえ、「温泉ヘビは凍死と熱死の間の、実に絶妙なラインを生き抜くことができる」と述べています。

しかし残念ながら、温泉ヘビの個体数は現在、チベット高原での人為的な活動により減少傾向にあるという。

ある場所では、温泉ヘビが冬を過ごすための巣穴が建設工事によって破壊され、またある場所では、産まれたばかりのヘビが育つ湿地帯が土地開発によって荒らされています。

そこでCASのチームは2023年5月からチベット高原に人が立ち入れないような場所を設けて、人工的な温泉ヘビの巣や湿地帯の復元を進める計画を立てているとのことです。

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参考文献

Secrets of Tibet’s hot-spring snakes revealed
https://www.science.org/content/article/secrets-tibet-s-hot-spring-snakes-revealed

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: 大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。