ベンダ側の責任が重いと裁判所が判断する傾向

 カスタム部分が多く発生したことが原因であるなら、それを要求した文化シヤッター側にも責任があるとも考えられるが、なぜ裁判所は日本IBMの責任のほうが重いと判断したのか。

「近年の傾向として、ユーザ企業とベンダ間の過失割合としてベンダ側の責任が重いと裁判所が判断することが増えているといわれています。ロジックとしては、システム開発に関してより高い知識を持っている“プロ”であるベンダは、たとえ顧客であるユーザ企業からの要求であっても、それによって大きな損失が発生すると予見される場合には、しっかりと正す義務を負っている、ということだと思います。過去の自治体とベンダの間での訴訟で出された裁判所の判断でも、同様の考え方がうかがえます。

 ですので、ベンダ側としては『顧客の言うことだから』として何でも受け入れるのではなく、デメリットなどを提示しつつ、ときには毅然とした態度で拒否したり、断念するよう説得するという姿勢が必要といえます。また、ユーザ企業にもベンダにも『共創するパートナー』という意識を持つことが重要であり、プロジェクトが正式にスタートする前の段階で一緒にワークショップを開催して、目指すべきシステムや進め方をディスカッションして共有するという動きも増えています」

(文=Business Journal編集部、田中健太/データアナリスト、鶴見教育工学研究所)

提供元・Business Journal

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