幹部社員が女子アナウンサーを接待や懇親会の席などに同席させていた疑いが浮上しているフジテレビジョン。CM放送の中止を決めた企業が増えて70社以上にのぼり、代わりにACジャパンの映像が頻繁に流れる事態となっているが、ニトリホールディングス(HD)のように大企業のなかにも放送を継続しているところもある。どのような理由で継続しているのかを聞いた。

 フジテレビの番組にレギュラー出演する中居正広さんと女性との間でトラブルが起きた会合に、同局の幹部社員が関与していた疑いが持たれている問題。社内にも混乱が広がるなか、同局は23日に社員向け説明会を実施するが、その影響は同業他社にもおよんでいる。すでにフジテレビは調査委員会を設置するとしていたが、日本テレビ、TBS、テレビ東京も調査を行うと発表。テレビ朝日は22日、すでに制作現場やアナウンス部を中心に調査を行い、食事会等での不適切な行為の報告はなかったと公表した。

CM放送見合わせの企業は70社以上に

 注目されているのがスポンサー企業の動きだ。フジテレビは問題が報じられた当初、公式サイト上で「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」と否定コメントを発表していたが、同局の港浩一社長をはじめ幹部社員が日常的に外部の関係者との接待の席にアナウンサーを同席させ、不適切な行為が行われていたとも報じられ、親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)の大株主である米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツなどから第三者委員会の設置による正式な調査などを要求される事態に発展。これを受け、同局の港社長ら経営陣は17日、記者会見を実施。だが、出席するメディアを記者クラブに加盟する社に限定し、会見の模様の映像の撮影を禁止した点や、立ち上げる調査委員会を日弁連の定義に基づく第三者委員会の形態にはしないと説明した点、外部関係者との懇親会での女性社員への不適切な行為の存在を明確に否定しなかった点などに批判が集中した。

 その結果、会見翌日にはトヨタ自動車や日本生命保険など大手企業がフジテレビ番組でのCM放送の見合わせを発表し、他社も追随するかたちで相次いで同様の対応を行い、その数は現時点ではNTT東日本、サントリー、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、楽天グループ、日本マクドナルドなど70社以上に上る。このほか、キッコーマン1社提供により50年以上続くフジテレビの長寿番組『くいしん坊!万才』が、キッコーマンからの要請を受けるかたちで放送休止に。塩野義製薬1社提供の『SHIONOGI MUSIC FAIR』について、同社がフジテレビに対して番組内での社名削除を要請していることも明らかになっている。