家族の思い出映像をVHSで保管しているという人も、この記事をお読みの方にも少なくないのでは? また80年代~90年代の貴重なテレビ番組の録画を、やはりVHSで残している方もいるでしょう。しかしVHSは「寿命」が近づいている記録媒体であることも事実です。最悪の場合、2025年にはテープの再生が難しくなってしまうかもしれません。今回はVHSの寿命に伴う「2025年問題」をご紹介します。

1998年に売上のピークを迎えた「VHS」の寿命は約20年?

VHSの寿命は「20年」? 2025年にはテープの再生が難しくなるかも
(画像は筆者作成)(画像=『オトナライフ』より 引用)

まず日本映像ソフト協会によると、VHSの売上本数のピークは1998年です。2000年以降はDVDが急速に普及したことでVHSの売上は下火に。2006年には売上本数が128万本にまで落ち込んでいます。つまり「2024年現在も手元にVHSがある」場合、そのVHSを購入したり、テレビ番組の録画に利用したのは1990年代というケースが多いのではないでしょうか。

一方、VHSの寿命は20年~長くても30年と言われています。テープを構成する素材が10年〜25年の時間をかけ、少しずつ分解され、経年劣化していくことが理由です。

たとえば2019年には“マグネティック・テープ・アラート”をユネスコが発表。2025年までにVHSに代表される磁気テープの映像をデジタルファイル化しなくては、その映像にアクセスできなくなる可能性が高いと指摘しています。つまり1990年代に販売のピークを迎えたVHSが寿命を迎えるのが「2025年頃になるのではないか」と推測されます。

磁気テープをデジタルファイル化する需要は近年改めて増大しており、専門店などではDVDへのダビングなどデジタル化が順番待ち状態になることも。手元のVHSをデジタル化したい場合、お近くのお店に早めに問い合わせることをおすすめします。

VHSのみ製品化されている有名な作品の例

もっとも「2024年現在でも、VHSには保管しておくほどの価値があるのか」といった疑問を感じる方もいるのでは?

実はDVD化などがされず、VHSのみで製品化されている有名作品は決して少なくありません。たとえばその一つには、東映アニメーションが制作した「遊☆戯☆王」(平成10年4月~10月放送)が挙げられます。

VHSの寿命は「20年」? 2025年にはテープの再生が難しくなるかも
(画像は「東映アニメーション」公式サイトより引用)(画像=『オトナライフ』より 引用)

俳優の風間俊介さん(放映当時:ジャニーズJr.)が声優を務めたことで有名な『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』は、実は同アニメシリーズの第2作に相当します。第1作が東映アニメーションが制作した遊☆戯☆王であり、第1作と第2作には関連性はありません。そして東映アニメーション版の遊☆戯☆王は放映当時にVHS版が発売されたものの、DVD化などはされておらず、再放送もされていません。

つまり同作を視聴する手段は、2024年現在「VHS」しか無いのが現状です。たとえばYahoo!オークションを見てみると、1本5,000円ほどで取引されています。もしも自宅に当時の遊☆戯☆王の録画や、販売されたVHSなどが残っている場合、その映像は極めて貴重なものであり、デジタル化することをおすすめします。