ただ1940年代には、コロイド状銀の服用による銀皮症の危険性が認知されて世界的な使用が減少し、現在ではむしろ銀皮症は稀な症例となっています。
では、銀を大量に摂取するとどうして皮膚が青色になるのでしょうか?
まずもって、体内に混入した銀は長い時間をかけて徐々に皮膚の表面へと蓄積されていきます。
銀の感光性が写真撮影に利用されているように、皮膚に蓄積された銀の粒子は日光にさらされることで特定の光の波長を反射する働きをします。
これが青色や青みがかった灰色なのです。
こうした皮膚の変色は永続的なものであり、時間の経過とともに色が薄くなることは原則としてありません。
皮膚の真皮層は新陳代謝が非常に遅いため、一度沈着した銀を自然に排出することはほぼ不可能なのです。
青色の濃さが銀の摂取量や蓄積した期間によって大なり小なり異なることはありますが、銀皮症の患者は「青色の肌」が普通の状態となってしまうため、心理的な苦痛を経験することがあります。
銀皮症への有効な治療法も今のところほぼ存在しておらず、唯一、レーザー治療によって皮膚の色を改善することが可能ですが、それでも完全な治癒は期待できません。
ただ不幸中の幸いというべきか、銀皮症が直ちに命に関わることはないとされています。
銀の摂取量によって腹痛や頭痛、腎障害などが起きるケースもありますが、銀は人体において毒性が低いため、直接的に生命を脅かすような症状を起こさないのです(一度に大量の銀を摂取した場合は除く)。
では最後に、銀皮症を発症した患者として最も有名な男性を見てみましょう。
世界一有名な「青い肌」を持つ男性
かつてアメリカに住んでいたポール・キャラソン(Paul Karason)は、メディア上で「世界一有名なブルーマン(The most famous “blue man”)」として多くの話題を集めた男性です。